金沢の伝統食「こんか漬け」を製造する『金沢こんかこんか』。
ひがし茶屋街から徒歩10分ほど、金沢市材木町の町家を改装した加工場で、おばあちゃんから教わった製法を守りながら、変わらぬ味をつくり続けています。
一時は廃業の危機もあったといいますが、「歴史あるこの食品を途絶えさせてはならない」という若者たちの熱意によって2017年に第二章がスタート。現在に至ります。
前編では『金沢こんかこんか』の味わいの特長や、ブランド誕生から現在に至るまでのエピソードをご紹介しました。後編では、事業承継後の新たな広がりについてお届けします。
【前編はこちら】
ラブレターがきっかけになった事業承継
■まさしく「手塩にかけて」という作業。こんか漬けには作り手の愛情がたっぷり詰まっています。
――先ほど事業承継の話に少し触れました。ここで詳しく経緯を説明すると、池田さん親子の『池田商店』からまずは東京と金沢を拠点とするブランディング会社に経営が移り、その後さらに御社に経営が移ったんですね。
越野:そうです。現在は弊社を中心に『糠乃舎』の元、さまざまなメンバーと協力し運営しています。
――御社も前身の会社も食品製造業とはまったく別業種ですが、なぜ事業承継先に選ばれたのでしょう。
越野:それが、池田さん宛にラブレターを送ったんだそうです。「私たちの会社には金沢出身者もたくさんいて、地元を愛しています。地元の味を残したい、技術を残したい」と。
――それは素敵ですね!
越野:池田さんはそれに胸を打たれて「一緒にやっていこう」と決められたんじゃないかな。やっぱり金沢の人ってみんな地元愛が強い。金沢のことが大好きですから。
――御社としては、こんか漬けの事業を引き継ぐことに不安や迷いはなかったのでしょうか。
越野:「まったくなかった」と社長から聞いています。「地元の文化は守らねばならない」と。
ブランディングの仕事はお客様の声を聞きながら一つひとつ作り上げていく仕事なのですが、こんか漬け製造にもそうした側面があって。強い共感があるようにも思います。
■こんか漬けの味はそのままにパッケージを刷新。変化球の金沢土産が欲しい人たちにも好評なのだとか。
――『金沢こんかこんか』の運営もしつつ、リブランディングも手掛けていますよね。以前のまま残す部分と刷新する部分を色々検討されたのではと思いますが、いかがでしょうか。
越野:従来のやり方を尊重している点は2つあります。まずは「金沢こんかこんか」という名称を残すこと。そして従来の製造方法のまま何も変えないということです。
――刷新したのは?
越野:まず、出荷工程の見直しです。今後は製造に色々な人が関わっていく可能性があるので、出荷直前に行う「漬け替え」という作業を誰でも担当できるよう、工程を整えました。
また、パッケージや印刷物、同梱するカード、ホームページといったところは、大きくイメージを変えています。
それから、ミーティングをして情報を共有していくこと。
そして、イベントへの出店。これは大きな変化の一つですね。金沢市のクラフトマーケットをはじめ、いろんなイベントにちょこちょこ出展させていただいています。
ファンの輪によって食べ方の可能性がどんどん拡大中
■石川県鶴来で開催された『おついたちマーケット』出店の様子。
――イベントでは、毎回こんか漬けを使ったオリジナルのフードを出されていますね。バリエーション豊かなレシピに驚きました!どなたが考えているのでしょうか?
越野: うーん……。「みんなで」でしょうか。
――と言いますと?
越野:実は、専任のフードプロデューサーは特にいなくて、その時その時で近くにいる料理が上手な人がメニューを考えてくれている感じなんです。
こんか漬けを食べた私の飲み友達が「お弁当にしてみようよ」と提案してくれて、実際に商品化したこともあります。
――なるほど。ファンの輪でレシピがどんどん増えているんですね!
越野: 最近は「金沢こんかこんか」を応援してくださっているプロの料理人の方にお願いしているのですが、その活動を見てくださったミシュランシェフの方が「俺もやる!」とメニューを考えてくれたこともあるんですよ。
――すごい!ミシュランシェフまで!
■ベトナムのストリートフード、バインミーにこんか漬けをプラス。これまでにない食べ方を提案しています。
伝統食「こんか漬け」の楽しさを広げていきたい
■一番反響が大きかったフードは細巻き。白ごまや大葉、とろろ昆布などでアレンジした3種類を販売しました。
――イベントでは、偶然こんか漬けと出会う方もいらっしゃいますよね。
越野: そうですね。観光客の方も多くて「地元の郷土食なんですよ」とお伝えするとすごく興味を持ってくれます。外国の方が恐る恐る食べてくださったり、いろんな反応が直接見られるのはモチベーションになりますね。
――今後の展望としてはいかがでしょうか?
越野:実はいま、お土産需要がすごく増えているんです。金沢ってお菓子は有名なのが色々ありますが、定番じゃない変化球のお土産が欲しい人もいるようで。
そういう方に向けても「こういう美味しい食べ物があるんだよ」と広めていきたいですね。
――最後に一言お願いします。
越野:魚のぬか漬けは地元でも製造しているところが随分減ってきました。「今後も残してね」と激励の声をいただくこともあり、とても嬉しく励みになっています。引き続きこの美味しさをPRしていきたいと思っています。
――斉藤さんからも一言。
斉藤: 「金沢こんかこんか」は事業承継によって本当にいい人に恵まれました。若い人たちがこんなにも頑張っていることをみんなに伝えたいですね。
「金沢こんかこんか」がこれからも愛されて、長く続くと嬉しいです。
ーーありがとうございました!
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![]() じのもんライター:中嶋 美夏子 大学進学を機に金沢へ。おいしい食べ物と暮らしに根付く美意識に感動し、日々探求しているうちにいつの間にか十数年が経ってしまった。人々のなにげない日常が撮りたくて、ちょっとしたお出かけでもいつもカメラと一緒。能登からやってきた保護猫とふたり暮らし。 |


