自然豊かな白山ろくで生まれた「でけえなめこ」。ユーモアあふれる名前に里山の未来を乗せて
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自然豊かな白山ろくで生まれた「でけえなめこ」。ユーモアあふれる名前に里山の未来を乗せて

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「でけえなめこ」。一度聞いたら忘れられないこのユニークな名前のなめこを栽培するのは、石川県の白山ろく地域で地域資源を活用したさまざまな取り組みをする『合同会社 山立会』さんです。
ほかではなかなか見かけないビッグサイズのなめこが誕生した理由は?お聞きしてきました!


偶然の発見から生まれた「でけえなめこ」の魅力

■左が定番のなめこ、右側が「でけえなめこ」。驚きの大きさです。


お話を伺ったのは、山立会の中出倫留さん。

早速「でけえなめこ」が生まれたきっかけについてお聞かせいただきました!

 

「まさに“偶然の発見”でした。

通常は大きさが不ぞろいだとなかなか市場に出せませんが、ときどき現れる特大サイズのなめこを食べてみると、驚くほどおいしかったのです。

『だったら、このインパクトをそのまま商品にしてみよう!』と先代が思いついたのが商品化のきっかけです」。


実は、今回お話をお伺いするまで、なめこって小粒サイズにしか育たないものなんだと思っていました。商品として出回ることが滅多にないだけで、こんなにも大きく育つものだったんですね…!


ただし、単なる“偶然の産物”ではなく安定した商品として「でけえなめこ」を生産し続けるには、熟練スタッフによる繊細な環境管理と丁寧な取り扱いが欠かせないのだといいます。そのため「でけえなめこ」は、一般的ななめこと比べて多くの手間暇がかかるのだそう。


愛情を受けてすくすく育った「でけえなめこ」。

「思わず笑ってしまうようなユニークな愛称をそのままブランドにしたことで、多くの方に親しんでいただける存在になりました」と中出さんはいいます。



白山市木滑(きなめり)地区。なぜこの場所でなめこ栽培を?

■『山立会』のなめこ工場。山深い白山ろく地域にあります。



石川県白山市の山間部に位置する木滑(きなめり)地区。

霊峰白山を望むこの里山でなめこ栽培がはじまったのは1972年のことだったといいます。

その後半世紀にわたって地域の人々に愛され続けてきましたが、先代が惜しまれながら引退を決意。
現在その技術と想いを受け継ぐのが『山立会』さんです。


この菌床なめこ工場では、小さななめこから大きななめこまで全部で7サイズを生産。
天然のなめこは気候条件が揃ったときにしか発生しないものですが、ここでは年間を通していつでもなめこを出荷することができます。


その秘密は、なめこが好む森の環境を工場で再現していること!

「なめこは日本の雪国に見られるような“涼しく湿った森のような環境”を好むきのこです。
工場内で栽培する菌床なめこは、この自然環境を再現し、『培養は少し暖かめ』『発生は涼しく高湿度』という条件を整えることで、植菌→培養→発生→収穫の工程を繰り返し、年間を通じて生産することができるのです」

と中出さん。

美味しいなめこをいつでも食べられるのには、こうした理由があったんですね!

 

なめこの新たな可能性!でけえなめこのピクルス

■ざく切りの「でけえなめこ」をハーブやスパイスの効いたピクルス液に漬けて仕上げます。


『山立会』のなめこは、生の状態での販売はもちろん、加工品としての販売も行っています。

その中でひときわ目を引くのが「でけえなめこのピクルス」。
なめこといえばお味噌汁など和食のイメージが強いだけに、洋風のピクルスはちょっと意外な組み合わせです。

このピクルスが生まれたのは、「でけえなめこの美味しさをおみやげとして持ち帰ってもらいたい」という思いから。

「でけえなめこの調理法は天ぷらや鍋、炒め物などをおすすめすることが多かったのですが、おみやげにするとなると、どう生かせばいいのかと最初は悩みました…」
と中出さん。

試行錯誤の日々。そしてたどり着いた答えが、ピクルスでした。

「いくつも試作を重ねた結果、つるりとやわらかなカサと、シャキシャキと歯ごたえのあるジク、それぞれの食感をしっかり楽しめて、旨みも引き立つ“ピクルス”にたどり着いたんです。
その特徴的なサイズ感を視覚的にも伝えられるよう、パッケージには縦長の瓶を採用しました」。

現在、瓶詰は3種類。
「でけえなめこのピクルス」をはじめ、Mサイズのなめこを使用した「なめたけ」、2Lサイズのなめこを使用した「なめこおろし」を販売中です。

木滑なめこの特長である豊富なサイズを活かしたラインナップ。
新鮮ななめこならではの歯ごたえのある食感が楽しめる、おみやげやお取り寄せにもぴったりの一品ですよ!


「木滑なめこのなめたけ」
甘辛い味とほどよいとろみが温かいごはんにぴったり。味付けには白山市の醤油が使われています。


「木滑なめこのなめこおろし」
大きめサイズの「2Lサイズ」を使用。大根おろしを絡めたすっきりとした味わい。


 

里山とともに歩む持続可能な未来づくり

■羊肉の生産加工や販売も行う『山立会』。こちらは「サフォークカレー」。


『山立会』では、なめこの生産販売だけでなく、羊肉の生産、ジビエの販売など、地域資源を活かしたさまざまな取り組みを行っています。

背景にあるのは、白山ろく地域の里山全体の課題解決への意識。

少子高齢化、農林業の担い手不足、地域経済の縮小…。 現在の里山は、多くの課題を抱えているのだといいます。

「こうした状況下で、コミュニティの空洞化に歯止めをかけ、自立した地域づくりの先頭に立つことが私たちの使命。
事業を通じて、地域の資源を生かしながら街と里山をつなぐ役割を果たしていけたら」
と中出さんはビジョンを語ります。

「里山には、その土地ならではの恵みや魅力があります。
それを広く伝え『大切にしたい』と思う人を増やすことこそが、持続可能な里山の未来につながっていくとわたしたちは考えています」。

里山とともに歩む未来を育てていきたい――。そう締めくくった中出さん。

ユニークな「でけえなめこ」の背景には、地域とともに生きる人たちの熱い思いがありました。


■木滑の新鮮ななめこをごはんのおともにぜひどうぞ。

 

 

<この商品はこちらのカタログに含まれています。>

白山おみやげグランプリプレミアムギフトバコ
6843 木滑なめこの瓶詰

 

 

 

(DATA)
合同会社山立会
076-255-5579
石川県白山市木滑西1番地
[Instagram] @yamadachi_kai  ※外部サイトに遷移します


じのもんライター:中嶋 美夏子

大学進学を機に金沢へ。おいしい食べ物と暮らしに根付く美意識に感動し、日々探求しているうちにいつの間にか十数年が経ってしまった。人々のなにげない日常が撮りたくて、ちょっとしたお出かけでもいつもカメラと一緒。能登からやってきた保護猫とふたり暮らし。