素朴でやさしくも厳しい自然がいっぱいの能登。
そんな能登が誇るブランドグルメはいくつかあるけれど、今回はそのうちのひとつ
「能登牛」を。……それが野々市で買えるって知ってました?
■生産者直営の肉屋『野々市ミート』。石川県のブランド肉「能登牛」「能登豚」を取り扱っています
能登に行ったら能登牛(のとうし)を……とは言うものの、
意外なことに認知度が上がってきたのはここ数年のことだそう。
実は生産頭数が極めて少なく、かつ能登牛専門の肉屋も石川県内に少ないことから、
幻のブランド牛と称されることも……。
「将来、東京や大阪から来た人から『能登牛って知ってる?』と訊かれた時、
『知っていますよ、おいしいですよね』と地元の人が返せるようになると、
どんなに誇らしいことか」
との思いで、オープンしたのが『野々市ミート』。
それも、「能登牛は『能登牧場』を専門に」というこだわりぶりです。
■能登の山でひっそり育てられる『能登牧場』の牛たち。皆やさしい目をしています
そこまで『野々市ミート』が惚れ込んだ『能登牧場』って、どんなところ?
聞けば『能登牧場』の開業は2014年で、歴史は浅め。
でも、石川県と福井県が合同開催する品評会で連続でグランドチャンピオンになり、
全国から名だたるブランド牛が集まる大会では石川県代表として出品し、
県の過去最高順位を刷新するなど、次々と快挙を遂げているほどの実力派。
■『野々市ミート』の中田さん(左)と『能登牧場』の平林さん(右)。能登牛について熱く語り合う仲!
そんな『能登牧場』の能登牛の品質に、肉の目利きである中田さんが惚れ込みました。
「平林さんが育てる能登牛はストレスフリーで健康的な長期肥育ですから、
肉の締まりや香りが極上で、赤身と脂のバランスも絶妙です。
胸を張って、この肉を県内外に広く知らせたいと思ったんです」
能登牛が育つ石川県で、まずは地元の人が能登牛の味を知ってほしい!
東京などの県外から来た人に能登牛を訊かれた時に「知っています、おいしいですよね」と返せるようになると、きっと、どんなに誇らしいことか――
その一心で、2021年に野々市で『野々市ミート』をオープン。
■枝肉で仕入れた能登牛を自社工場内で加工し、吟味して販売。贈答品にも申し分ない味
切り落としやステーキ、焼肉、ローストビーフなどさまざまなカタチで、
ハレの日の贈りものはもちろん、家庭でも気軽に使えるようにと創意工夫し、
『野々市ミート』で『能登牧場』の能登牛の肉が販売されています。
どうして能登牛を取り扱うお肉屋さんが、この場所に?
……と思っていたのですが、そういうストーリーがあったんですね。
(もちろん他にも深い話はありましたが、ここでは割愛)
■しゃぶしゃぶ・すき焼き用にカットされた能登牛の肉を、美しく花の形に盛りつけてギフトに
家庭でも能登牛を取り入れてほしいとの思いで、
ハイグレードな能登牛ながらも、手が届きやすい価格で販売。
「今日はイイことがあったから、能登牛の肉を使った夕飯にしよう」
と思い立ったらすぐ買いに行ける距離感というのも助かります。
タイミングが合えば、能登牛すき焼きコロッケやミンチカツなど
気軽に味わえるフードもあるとか。
■能登牛のもも生ハム。ちょうどいい利用で個包装なのが酒飲みにうれしい!
取り入れるといつもの食卓がワンランクアップ!
ただ、ここまで安定して供給している陰には、なみなみならぬ苦労もありました。
その最たるものが、令和6年元旦の能登半島地震、そして同年9月の能登半島豪雨。
この1年の間、『能登牧場』にも容赦なく自然災害が襲いかかりました。
大きすぎる被害の重なりに泣いて、怒って、恐怖して……
それでも、前を向く。
――災害前よりも、能登牛の頭数を増やすため――
未来的思考で助け合い、新しいやり方、価値を模索しながら、
『能登牧場』で能登牛を育て、『野々市ミート』で販売するのだという想いを知り、胸が熱くなりました。
そんな力強く誇りある〈Furusato〉を感じ、食べることでエールを。
さて、今夜はすき焼きにしましょうか。
野々市ミート
076-227-9623
石川県野々市市白山町1-33
営/10:00~19:00
休/水曜
[Instagram]@nonoichi_meat
じのもんライター:西木 來白 東京からUターンし、現在は小松在住。編集・ライター歴が20年を超えたあたりで数えるのを止めた。仕事が楽しいが多忙続きで、電車に乗ると10分もしないうちに寝落ちるのが悩み。そんな我が身を見直し、オフでは癒しを求めている。趣味は旅行と地酒探し。 |