石川県内の漆器の三大産地として、「塗りの輪島」「蒔絵の金沢」に並ぶ「木地(きじ)の山中」。
木目模様を生かした自然な風合いが特徴の山中漆器を明治42(1909)年からつくり続けている守田漆器にお話を伺いました。
「山中漆器」は石川県加賀市の山中温泉地区で作られる漆器で、山中塗とも呼ばれます。
およそ400年前の安土桃山時代に生まれました。
ろくろを用いて椀や盆などを加工・製造する木工品で、挽物木地(ひきものきじ)では全国一の生産量を
誇ります。
■欅3.6お多福椀 茜・神代ペア
「『欅3.6お多福椀 茜・神代ペア』のこだわりポイントは、天然木欅材を使用し、漆を拭き漆という技法で薄く重ねて塗ることで、素材本来の温かみや美しさを大切にしている点です。
そして、木目や漆の色合いが一つ一つ異なるため、それぞれに独自の風合いが楽しめるのが特徴です。」
毎日使ってほしいから、こだわっているのは見た目だけではありません。
「山中漆器の伝統的な技術が継承され、器の渕は薄めに挽くことで口当たりが良くなっています。
また、器の下部は木地が厚めになっているので高台が小さいですが、安定性があり、使いやすいです。
そして、木地の厚みの分、保温性も高いので普段使いにとても良いと思います。」
漆器づくりへの想いも教えてくださいました。
「私たちは『人が器を、器が人を作る』という理念を持ち、器が単なる食器ではなく、お使いいただく皆さまの生活を豊かにするものとしてお作りしています。
これらのこだわりは『欅3.6お多福椀』に限らず、他の製品にも共通しており、守田漆器の製品作り全体に反映されています。
これにより、実用性と美しさを兼ね備えた高品質な漆器が提供されています。」
守田漆器では、ベテランの職人さんと若い世代の方たちが共にお仕事をされていて日々鍛錬を重ねているとのこと。
■若手職人さんによる作業風景
「若い世代が新しいアイデアやデザインに挑戦できる環境を提供しています。
伝統を尊重しながらも、現代のニーズに合わせた製品開発ができるよう、自由な発想を奨励しています。
私たちはこれからの職人たちに対して、
『伝統を守りつつも、新しい価値を創造する力を発揮してほしい』という想いを持っています。
伝統技術を継承するだけでなく、それを進化させることで、共に漆器の新たな可能性を切り拓いて
いきたいです。」
■まるで洋食器のような「カーブディッシュ」
時代とともに生活様式は多様に変化し、山中漆器にも様々なデザインの製品が生まれていますが、
山中漆器を手にしたときに感じる温もりや美しさはきっといつの時代も変わらないのだと思います。
長く受け継がれてきて、これからも次世代へと繋がれていくこの伝統工芸は、長く大切に使い続けたい暮らしの逸品だと深く感じました。
<じのもんオンラインショップで販売中>
守田漆器株式会社
0761-78-0106
石川県加賀市山中温泉上原町ワ-528
https://urusi.jp/
じのもんライター:北田 ゆき
生まれも育ちも石川県。独身の頃は、友人と話題のスポットへ行ったり一人旅に出掛けたりと自由気ままな生活を送った。子どもが生まれてからはなかなか自分時間が取れずにいるが、雑誌やSNSを見ては「子どもが大きくなったら一緒にここへ行こう」と夢を膨らませている。 |